株式会社ロックオン、ブロックチェーン技術のeコマース応用に向け、第二段階の検証結果を発表。具体的商材として電子商材への活用に目処。リアル商材は引き続き課題解決に向けた検証実施へ。

グループ会社

株式会社ロックオン(本社:大阪府大阪市北区 代表取締役社長:岩田 進)はテックビューロ株式会社(本社:大阪府大阪市西区 代表取締役社長:朝山 貴生、以下テックビューロ)が提供するブロックチェーン技術「mijin」を利用したeコマース用受注エンジンの、第二段階の技術検証を完了したことを2016年7月1日に発表いたします。

eコマースにおけるブロックチェーン技術の活用は株式会社ロックオンが独自の取り組みとして国内でも先駆けて実証実験を行っています。本実証実験の第一段階では、既に日本No.1EC構築オープンソース(※1)「EC-CUBE」のポイント管理部分の動作検証は終えており(2016年4月時点)、複数システムでのポイント情報のセキュアでリアルタイムな共有が可能で、その他在庫数の共有等を含め、オムニチャネルECのインフラ基盤となり得ることを示しました。

今回、第二段階の実証実験では更に ”具体的な活用” に向けた実証実験を実施し、ブロックチェーン技術が、著作権を確実に保護できるデジタルコンテンツの販売や、ダフ屋行為の発生しない電子チケットの販売等、現状の電子商材販売の課題を大きく改善できる技術として、具体的に活用可能である基礎的な確認を終えることができました。一方、一般的なリアル商材販売へのブロックチェーン技術の活用には技術的に解決すべき点があり、当社が目標としている全てのeコマースでの活用には更なる検証と研究開発が必要であることも同時に確認いたしました。
今後、本実証実験では販売可能な商材へのブロックチェーン技術の具体的活用を推進していくと共に、現状ある技術課題の改善に努め、目標とする汎用性の高いECインフラ技術への活用を視野に更なる検証を継続してまいります。

本実証実験の経過報告は更なる結果が分かり次第随時報告いたします。

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検証の状況報告とブロックチェーン技術の適応可能範囲について

近年、フィンテック(※2)の分野でも注目を集めるプライベート・ブロックチェーン(※3)技術は、「消えない」「改ざんできない」「ゼロダウンタイム」といった特性を持ち、汎用的用途に利用できることが期待されています。本開発検証では、テックビューロが有する国内唯一のプライベート・ブロックチェーン技術「mijin」を、ECサイトの受注エンジンに応用することで、画期的なECインフラ基盤構築への可能性を探るものです。
今回の実証実験を通して、電子商材への活用といったより具体的なブロックチェーン技術のeコマースへの応用を確認できたのと同時に、汎用性の高い応用への課題も明確になり、今後の実証実験へ繋がる結果となりました。

電子商材への親和性の高さ

ブロックチェーンには、二重払いを防止する機能と、内部データの改ざんを防止する機能、そしてデータの整合性を保つ勘定機能とが備わっています。これにより、特に親和性が高いのが権利の譲渡を主な目的とする、電子商材への適応です。具体的には、ブロックチェーンの応用により、デジタルコンテンツにおける違法販売・違法コピーによる著作権侵害や、電子チケット販売におけるダフ屋行為といった電子商材の極めて大きな課題を比較的安価なコストにより解決できることを意味しています。
今回の実証実験ではその具体事例への活用において基礎的な確認を終えることができました。今後は、より運用に沿った実証実験を行い、安価でよりセキュアな電子商材販売サイトのインフラ構築実現に努めてまいります。

eコマース機能の一部分を切り出した活用(ポイントや在庫情報のデータ不整合を排除)

ブロックチェーン技術の応用により、従来のデータベースやアプリケーションよりもより高いセキュリティ環境を実現することができます。これまでの実証実験により、「mijin」を「EC-CUBE」の勘定機能に応用し、ポイントの二重計上防止や、在庫の二重引き落としの防止等、データの不整合を排除できる可能性が高いことが確認できました。これは、これからのオムニチャネル時代におけるECのインフラ基盤となり得ることを示しています。

eコマースへ汎用的応用に課題

今回のブロックチェーン技術の検証では、電子商材といった極めて親和性の高い商材への可能性や、ポイント情報や在庫情報といった数値を基本とする情報への活用といったeコマースの一部機能の切り出しでの活用までは目処が着きました。一方、現状のブロックチェーン技術の課題として、一般的な言語情報の取り扱いにおいて、技術的に解決すべき点があることが確認できました。特に、「EC-CUBE」の仕様において、商品を購入した際の履歴である「受注情報」には言語情報が多く含まれており、商品購入時の汎用的インフラへの応用には技術的課題が複数あることが明確になりました。
今後は、本技術的課題をECサイト側である「EC-CUBE」と、ブロックチェーン側である「mijin」との研究開発を進め、より汎用的にeコマースで使用できるインフラ構築に向け実証実験を引き続き進めてまいります。本技術が確立されれば、eコマースにおける画期的なインフラになることが期待できます。

株式会社ロックオンとテックビューロの今後の取り組み

本開発検証作業は2016年1月から開始し、2016年6月時点において、「mijin」と「EC-CUBE」との連携システム構築と、一部商材や機能での検証を終了いたしました。今後、より具体的な商材への適応を推進すると共に、eコマースで利用できる汎用的なインフラ基盤実現に向け課題解決と、研究開発を継続して実施してまいります。
将来的には株式会社ロックオンより「EC-CUBE」における「mijin」利用パッケージを独占販売することや、株式会社ロックオンのソリューション事業部での、本技術を利用した大規模ECサイトやオムニチャネルEC構築の受注、更には本ECインフラ基盤の単体提供を視野に入れております。
なお、「mijin」は2016年夏にオープンソースとして公開予定であり、商用ライセンスの価格は年間数十万円程度を予定しております。

企業に関して

■「株式会社ロックオン」について(Webサイト:https://www.yrglm.co.jp/
株式会社ロックオンは、導入社数7,500社を超えるマーケティングプラットフォーム『アドエビス』を始め、国産リスティング広告運用プラットフォーム『THREe』、国内No.1 EC構築オープンソース『EC-CUBE』、マーケティング関連の研究・情報発信を行う『マーケティングメトリックス研究所』など、国内最大級のマーケティングソリューションを提供しています。2014年9月には東京証券取引所マザーズに上場し、関西発ITベンチャー企業として更なる国内での事業拡大を目指しています。また、日本国内にとどまらず、米国シリコンバレーやベトナムに関連会社を設立するなど、海外にも積極的に展開中です。

■「EC-CUBE」について( Webサイト:https://www.ec-cube.net/
ECオープンプラットフォーム「EC-CUBE」は、株式会社ロックオンが開発したECサイト構築パッケージをオープンソースとして2006年9月に公開したもので、日本No.1 EC構築オープンソースとして認定されており、ダウンロード数170万件超、推定22,000店舗以上で実際に稼働しております(当社調べ)。 2014年9月には企業間商取引(BtoB)向けECサイト構築パッケージ「EC-CUBE B2B」をリリース。2015年7月には「拡張性」の向上を追及した最新バージョン「EC-CUBE 3.0」をリリースいたしました。

■「テックビューロ株式会社」について(Webサイト:http://techbureau.jp/
テックビューロ株式会社は、暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発しているクリプト・フィンテック・ラボ(Crypto-Fintech Lab.)です。ビットコインを含む暗合通貨の為替取引プラットフォーム「Zaif」やプライベート・ブロックチェーン基盤ソフトウェア「mijin」の他、ブロックチェーン技術導入の受託開発やコンサルティングサービスを提供しております。

■「mijin」について(Webサイト:http://mijin.io/
「mijin」は、クラウド上や自社データセンター内に、企業内や企業間で利用可能なプライベート・ブロックチェーン環境を構築できるプラットフォームです。既存のデータベースや勘定システムを置き換えて劇的にコストを削減すると同時に、改ざん不可能なセキュリティ環境が構築できる他、実質ゼロダウンタイムを実現します。金融機関から電子マネー、ポイント、オンラインゲーム、ロジスティクスまで、幅広くご利用頂けます。「mijinクラウドチェーン」は、この「mijin」をクラウド上で利用できるようにしたPaaS(Platform as a Service)です。

※1:独立行政法人情報処理推進機構「第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査」による

※2: フィンテック(FinTech)とは金融(Financial)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、金融とITを融合させた金融システムの革新的活用を意味します。従来は、このフィンテックが担う分野は金融機関向けにサービスを提供する大手ITベンダーが関与するものでした。しかし、ここ数年は技術革新とともに比較的小規模のベンチャー・スタートアップ企業の参入が多くなり注目を集めています。

※3: ビットコインによって発明された、P2P方式によるデータ処理の基盤技術です。複数のコンピューターが分散型合意形成を行い、暗号署名しながらブロック単位で複数データを処理するのが特徴です。安価なコンピューターで稼働し、ゼロダウンタイムと、改ざん不可能なセキュリティを実現します。バックアップや冗長化も必要なく、劇的なコスト削減が可能であり、キャパシティを超えても落ちないため、金融機関にも注目されています。

プレスリリースに関するお問い合わせ先(報道機関窓口)

株式会社ロックオン 広報担当:梶原
問い合わせフォーム:https://www.yrglm.co.jp/contact/
TEL:06-4795-7500

本文中の商品名は、各社の商標または登録商標です。

2019年7月31日以前の記事は、旧商号「株式会社ロックオン」で記載しております。

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