猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を導入している企業は多いのではないでしょうか。
イルグルムでも従業員の安全確保と感染拡大防止のために、2月より在宅勤務を推奨。3月末には全社員が原則在宅勤務へ移行することを発表し、その翌日から一斉に在宅勤務をスタートしました。
今回は、急ピッチで進められた在宅勤務を支えた「情報システム室」のメンバーにその舞台裏を聞いてみました。

左から室長の前山、梶ヶ谷、小川

――まずはじめに、情報システム室のミッションについて教えてください。

前山:ITの活用でビジネスに「柔軟性」と「スピード」をもたらすことをミッションに、業務効率化と生産性向上に向けた基盤づくりとシステム導入を行っています。

小川:日々の仕事においては、PCや業務システムのヘルプデスク業務も大きなウェイトを占めていますが、主軸はあくまでも「経営戦略に基づいた基盤づくり」。ヘルプデスクなどの運用業務はなるべく効率化し、新しい取り組みについて考える時間を作るように意識しています。

前山:今回のようなパンデミックは想定外でしたが、災害などで会社に行けなくなった場合のBCP(事業継続計画)対策については2年前から提案し、意思を持って進めてきました。ここ数年でクラウドストレージの導入や基幹システムのクラウド化、Slackの全社導入、サーバーのクラウド化などを実施しています。

小川:今回の在宅勤務への移行で多くの部門が利用している「Amazon Workspaces」という仮想デスクトップの仕組みを試験的に導入したのもこの頃からですね。

――日々の運用からBCP対策に至るまで幅広いですが、業務の分担はどのようにしていますか?

前山:業務のすみ分けは特にないです。新しい施策を検討するプロジェクトに関してはそれぞれの得意分野によって分けることがありますが、定常業務についてはロケーションやプロジェクトの状況に応じて対応しています。
チームミーティングや日々の会話を通して、ミッションを共有し、共通の判断軸を持っているので、業務を分けるより、その時の状況にあわせて個々が判断して進めている部分が大きいと思います。

梶ヶ谷:判断軸を一言で表現するのは難しいですが、全員が同じ方向性を向いて、同じスタンスで仕事をしている感覚があります。

――発表の翌日から一斉に在宅勤務に移行するために行ったことはありますか?

前山:新たに実施したこととしては一度のユーザー認証処理で独立した複数のソフトウェアシステムが利用可能になる「SSO認証」があります。それまでは社内のネットワーク環境でのみログイン可能だったシステムに社外からもアクセスできるようにするもので、3月中旬頃には対応が完了していました。2月の在宅勤務推奨段階から全社在宅勤務を想定して準備を進めていたことが功を奏しました。

小川:セキュアな環境に接続する際に使用するAmazon Workspacesについても、さらにセキュリティを高めるなどの準備を同時並行で進め、必要な手順などもあらかじめまとめていました。

前山:とはいえ、発表の翌日はさすがに時間がないなと焦った部分もありましたが、社内のみんなの協力もあってスムーズに移行できたと思います。

小川:あとは、梶ヶ谷さんが早い段階から全社在宅勤務を想定してZoomの活用方法をまとめてくれていたおかげで、在宅勤務への移行後もオンラインで全社朝会を実施するなど活発に社内コミュニケーションが取ることができています。
個人的に少し驚きだったのですが、若手のメンバーの中には自宅にWi-Fi環境がないケースもあったので、ポケットWi-Fiの手配をしたりもしました。

――今回の件を経て、普段からやっておいてよかったと思ったことはありますか?

小川:今回の対応は普段やっていることの延長線のような感覚で、特別に何かをしたという感覚はあまりないです。コロナウイルスがきっかけで在宅勤務が一気に進んだけど、このために何かを変えたという意識はあまり持っていなですね。

梶ヶ谷:目指している方向性として在宅勤務というキーワードは既に出ていたので、まだ不十分な部分もあると思いますが、コロナウイルスがきっかけで前倒しで進められることができたという感覚に近いです。

前山:情報システム室しては「どこでも働ける環境を構築した方がいい」というポリシーをもっていたので、それがコロナウイルスの感染拡大防止で一気に進められたと考えています。

――情報システム室として大切にしていることは?

前山:システムの導入においては、導入そのものが目的になってしまうことも少なくないので、「本来実現したかったこと」を見失わないように意識しています。本質的な解決策を考え、導くことを大切にしています。

梶ヶ谷:現場のメンバーは目の前の課題を解決することだけを目的とすることも多いので、情報システム室はなるべく長期的な視点で、俯瞰して考えるようにしています。言われたことをそのまま受け入れた結果、むしろトラブルが増えたという経験も過去にはあったので、そこはスタンスとして崩さないようにしています。

前山:「〇〇を導入してください」と言われた時に、その通りに導入する方が実は楽だったりもします。でも、それは本質的な対応ではないので、時にはドライな判断が必要な時もあります。パワーがかかっても、関係部署と議論を重ねて、きちんと運用できてちゃんと結果が出るものを選択していきたいと思っています。

小川:その場しのぎの対応は後に運用のネックになることが多いので、導入のタイミングで考え尽くすことは、結果的に全体最適につながります。

前山:システムは運用されてなんぼ。利用されないシステムは無駄なコストとして経営にも影響します。本質を捉えた判断で、各部門及び会社全体を支えていきたいです。

――今後取り組みたいテーマはありますか?

前山:今の在宅勤務環境は、暫定的な対応も含んでいるので、長期的なテレワークに向けてより効率的な方法を整備していきたいです。また、一部のサーバーに関してはまだクラウド化できていない部分もあるので、そこは引き続き進めたいと思っています。

小川:製造業から転職してきた立場から見ると、イルグルムは既にクラウド化が進んでいる状態だと思うので、そこをさらに高めるところかなと思います。

梶ヶ谷:Salesforceを活用するための取り組みを強化していきたいですね。これまで各部門が独自で運用した結果、部分最適になっているところも多いので、部門横断的な活用の基盤をつくっていきたいと思っています。そのために各部門の間に立ってコミュニケーションしていくことも私たちの役割なのかなと思います。

――今後、組織においてどんな役割を果たしていきたいですか?

小川:情報システムというと、ヘルプデスクや申請作業の処理、サーバーやネットワークのお守りをイメージする人も多いと思いますが、それらの定常業務はなるべく効率化し、会社全体のIT戦略や体制作りに貢献していきたいです。

梶ヶ谷:組織づくりへの貢献が個人的なテーマとしてもあり、ITの活用において組織の存在は切り離して考えることができないので、組織づくりにつながるアクションを考えていきたいですね!

前山:みんなと同じです。組織づくりにしっかり関わり組織で分断されている部分をつないでいきたいです。システム導入だけじゃなくソフト面も意識した動きを意識したいですね。

楽な道ではなく、本質的な課題を捉え、全体をよりよくするために各部門とコミュニケーションを重ねる3人の姿がとても頼もしいと感じられたインタビューでした。
これまで当たり前だと思っていたことが、実はたくさんの人の努力によって支えられていたのだと痛感するこの頃。縁の下の力持ちとして会社のIT基盤を守り、進化させる情報システム室のメンバーの存在の大きさを再確認することができました。